矯正歯科
歯列矯正について
矯正歯科は、歯並びを整え、口元の見た目や機能面を改善する治療です。歯並びが悪いと、口元を隠してしまう、自信を持てないなどの悩みや、発音障害、食べ物の噛み込みづらさ、全身のバランスの悪さ、歯周病のリスクの増加などの問題が生じることがあります。矯正治療によって、これらの問題を改善し、健康で美しい口元を手に入れることができます。また、成長期のお子様の場合、顎の骨格や顔のバランスを整える効果も期待できます。
小児歯列矯正
子どもの矯正は、あごの骨格や歯並びの成長に合わせて、2段階で行います。
第1期治療
乳歯と永久歯が混ざっている時期に行います。この時期は、あごの骨や歯の成長が活発なので、成長を利用した治療を行います。主な治療内容は、拡大装置や顎間ゴムを使って、あごの骨のバランスや大きさを整えることです。(6~10歳)
第2期治療
永久歯が生えそろってから行います。この時期は、歯の位置が完全に固定されているので、歯の1本1本に装置をつけて、歯並びを整えます。主な治療内容は、ブラケットやインビザラインを使って、歯の位置を移動させることです。
不正咬合の種類
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突とは、上顎の歯が前に突き出ている状態です。また、下顎の歯が後ろに位置している場合も、出っ歯に見えます。上顎前突があると、前歯で唇を切ったり、顔を強打したときに歯が折れやすくなったりします。
下顎前突(がかくぜんとつ)
下顎前突とは、上の歯より下の歯が前に突き出ている状態です。上の顎が小さい、もしくは下顎が大きいと起こります。下顎前突があると、うまく食べ物を噛めなかったり、滑舌が悪くなったりします。
開咬(かいこう)
開咬とは、上下の前歯が噛み合わない状態です。前歯でものを噛み切ったり、発音をしたりすることが難しくなります。舌の癖や指をしゃぶる癖などが原因で起こります。
過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合とは、上の歯が下の歯を覆いすぎて噛み合っている状態です。下の歯が上の歯茎を刺激して口内炎ができやすくなり、前歯が乾いてむし歯の原因になることがあります。
上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)
上下顎前突とは、上顎と下顎の両方が前に突き出ている状態です。
交叉咬合(こうさこうごう)
交叉咬合とは、上下の歯が横にずれて噛み合っている状態です。左右の顎の成長の差により、顔が歪んでしまう場合があります。
空隙歯列(くうげきしれつ)
空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間がある状態です。これは顎の骨の大きさに比べて歯が小さく生えてしまうことが原因です。隙間があると食べ物が詰まりやすくなり、むし歯や歯周病の原因になります。また、隙間から息が漏れ出て、サ行、タ行、ラ行の発音が悪くなります。
矯正装置の種類
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、歯に四角形の金属の装置(ブラケット)を取り付け、ワイヤーで繋ぎ合わせて、歯に力をかけて動かす矯正治療です。重度から軽度まで、さまざまな歯並びの症例に対応することができます。
ワイヤー矯正のメリット
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幅広い症例に対応でき、比較的安価です。
ワイヤー矯正のデメリット
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装置の取り外しができないため、歯磨きがしにくかったり、食事がしにくかったりします。
マウスピース矯正(インビザラインファースト)
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着して歯を動かす矯正治療です。取り外しが可能なので、歯磨きや食事などの際にはマウスピースを外すことができ、衛生的に保つことができます。また、透明で目立ちにくいため、見た目を気にする方も安心して治療を受けることができます。
マウスピース矯正のメリット
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治療期間が比較的短いため来院頻度が少なくすみます。またワイヤー矯正に比べて痛みが少なく、取り外し可能で衛生的です。
マウスピース矯正のデメリット
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1日に決められた装着時間を守らないと、計画通りに歯並びが改善されないことがあります。歯並びの状態によっては、マウスピース矯正を適用できない場合があります。
床矯正
床矯正とは、入れ歯に似た装置を装着して、顎の骨を広げて歯並びを整える矯正治療です。抜歯をせずに歯並びを整えることが可能なため、成長期の子供に多く用いられます。
床矯正のメリット
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抜歯をせずに歯並びを整えられること、取り外し可能で歯磨きがしやすいことなどです。
床矯正のデメリット
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適用できる年齢が限られていること、後戻りしやすいこと、1日14時間以上の装着が必要なことなどが挙げられます。
拡大床
歯が生えてくるスペースが不足している際に用いられる矯正装置です。歯を直接動かすのではなく、顎の骨を広げて歯列を拡大することで、歯が生えてくるスペースを確保します。そのため、歯並びの改善だけでなく、骨格の改善にもつながります。
拡大床のメリット
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骨格から矯正するので、口呼吸が改善される可能性があります。
拡大床のデメリット
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装着直後は痛みや違和感を感じることがあります。
治療の流れ
当院の矯正治療の流れは、以下のとおりです。
初診
患者様のご要望やお悩みをお伺いし、矯正治療の概要や治療計画についてご説明します。気になっていることがございましたら些細なことでもご質問ください。
検査
問診、レントゲン撮影、歯型取り、咬み合わせ、顔面写真、口腔内写真などの検査を行い、現在の歯並びやお口の状態を把握します。
診断
検査結果をもとに、患者様に合った治療計画を作成し、ご説明いたします。ご納得いただければ、治療開始となります。
治療開始
治療計画に沿って、矯正装置を装着して歯を動かしていきます。通院は、症状により異なりますが、通常は3~4週間に1度です。
保定
歯並びが安定したら、矯正装置を外します。後戻りを防ぐために、保定装置を装着して経過観察を行います。
治療終了
保定期間を経て、歯並びが安定したら、治療は終了です。治療完了後も、定期検診をおすすめしています。ご希望があれば、年に1~4回、経過を確認いたします。
歯列矯正の費用
矯正装置による費用の違いを比較しました。
よくある質問
Q.
歯列矯正治療は痛みがありますか?
A.
装置を調節した後、数日間、歯が浮いたような感覚を感じることがあります。歯を削ることはほぼありませんので、一般の歯科治療とは異なり、痛みは少ないでしょう。
Q.
歯列矯正治療の期間はどのくらいですか?
A.
症例によって異なりますが、平均して2~3年です。短い場合は3~6ヶ月、長い場合は5年以上かかることもあります。ただし、装置装着後は月1回の通院で済むので、それほど負担にはなりません。
Q.
悪い歯並びを放っておくと、どのような問題が起こる可能性がありますか?
A.
歯並びが悪いと、以下の問題が起こる可能性があります。
-
虫歯や歯周病になりやすくなります。
-
物を噛みにくくなり、食事や発音に影響が出ます。
-
顔の歪みや顎関節症を引き起こす可能性があります。
Q.
歯列矯正治療中、食事で気をつけることはありますか?
A.
矯正治療中も基本的には普通の食事をすることができます。ただし、固い食べ物や粘着性の食べ物は、装置が壊れたり、装置に食べ物がくっついたりしやすくなるため、なるべく避けたほうがよいでしょう。また、ガムやチョコレート、キャラメルなどの食べ物は、虫歯予防の観点からもあまり好ましくありません。
Q.
歯列矯正治療では、歯を抜く場合はありますか?
A.
歯列矯正治療の目的は、歯を抜かずに、少しずつ動かして正しい位置に並べ、健康で機能的な美しい歯並びを作ることです。
しかし、乱杭歯や親知らずなど、抜いた方がよい場合もあります。また、顎が小さく、歯が並びきらない場合も、余分な歯を抜くことで、きれいな歯並びに導けることがあります。当院では、なるべく歯を抜かない治療を心がけていますが、抜歯した方がよいと判断した場合は、患者様のご同意のもとで行います。
Q.
歯列矯正治療には年齢制限はありますか?また、治療を始める時期はいつ頃が良いですか?
A.
歯列矯正治療は、年齢に関係なく受けることができます。ただし、大人の場合、歯を動かすのに時間がかかるため、治療期間が長くなり、費用も高くなることがあります。
また、最近では、外見を気にする人のために、目立ちにくい装置も開発されています。そのため、大人でも歯列矯正を受ける人が増えてきています。
歯列矯正治療の最適な時期は、症例によって異なります。早ければ4~6歳頃から治療を始める場合もありますが、永久歯に完全に生え変わる前(10~12歳頃)に一気に治療するほうが効果的な場合もあります。
最適な治療時期については、矯正歯科医による診断が必要です。不安のある方は、早めに矯正歯科医に相談することをお勧めします。
Q.
歯列矯正治療の費用はいくらくらいですか?保険は適用されますか?
A.
歯列矯正治療は、通常は保険適用外です。ただし、唇顎口蓋裂や外科手術を前提とした治療には保険が適用されます。
歯列矯正治療の費用は、症例によって大きく異なります。検査の結果をみて、担当医が詳細をお伝えします。
支払方法は、分割納入が可能です。事前に担当医に相談してください。
また、歯列矯正治療費は、大人でも診断書があれば税金の医療費控除の対象となります。診断書の発行には手数料がかかります。
Q.
舌側矯正装置とはどういうものですか?
A.
舌側矯正装置とは、歯の裏側に装置を装着する矯正方法です。歯の裏側に装置を装着するため、人目につきにくく、矯正していることを他人に知られることがありません。
歯の表面につける装置に比べて、材料費と技術費が割高です。また、装着する装置の位置が歯の裏側にあるため、装着や調整に時間がかかる傾向にあります。そのため、従来の矯正方法に比べて治療費が高くなる傾向があります。最終的な治療費は、患者様の歯並びの状態や、利用する矯正歯科医院によっても異なりますので、ご相談されることをお勧めします。